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合同練りはどうなるのか?

毎年5月3日から5日にかけての3日間、浜松市南区の中田島砂丘にて行われる勇壮な凧揚大会は「浜松まつり」の名称で地元住民に親しまれている。
また、浜松まつりは中田島砂丘での凧揚げ合戦だけではなく、夜になればこちらも勇壮なラッパの音色に彩られた練りが浜松市内のいたるところで繰り広げられる。
まさに浜松まつりは市内全域が一丸となる一大イベントとして、それぞれの町民に愛されているまつりとして浜松市全域に浸透している。
さらに、浜松まつりは参加するだけではなく、浜松市街中心部では観光客向けに御殿屋台の引き回しや、地元市民によるブラスバンドなどのパレードが行われ、市民だけではなく経済的にも浜松市にとって重要なイベントとなっている。
しかし、近年では浜松市の拡大に伴い、浜松市街地から離れた参加町も増え、御殿屋台の引き回しなど市街地での観光イベントにまで参加する町内は減少傾向にある。
そのような情勢の中、2015年から市街地でのイベントの一つとして成立していた「合同練り」が実質中止となった。
合同練りとは、浜松まつりの参加町をいくつかのブロックに分け、そのブロックの参加者が市街地中央通を勇壮に練り歩くという、市街地イベントの一つだが、やはりそのためだけに市街地まで移動するということが困難という町内が増えたことと、浜松まつり統監部が市街地イベントの統制をとりづらくなってきたことにより、2015年は「屋台を持たない町内のみ市街地での『単独練り』を許可する」という形となっていた。
合同練りの復活を望む声も
2015年は合同練りを中止した結果、この市街地での単独練りに臨んだのは市街地から近くにある三組町という町内だけとなってしまった。
合同練りが行われず、参加した町も1町だけだったため、御殿屋台引き回しまでの時間を観光客は持て余してしまい、急遽市街中心部で三組町に練を披露してもらうなどの措置をとったが、この間延びしたイベントスケジュールは観光客からもあきれた声があがっていた。
そこで、翌2016年には合同練りこそ復活させなかったものの、屋台を持っていない町内のみという市街地練りの条件を緩和し、希望する町内は自由に市街地で練りを披露してよいという形に切り替え、再起を図った。
結果、市街地のあちこちで練りが繰り広げられ、表向きは派手な市街地イベントになったかのようだったが、前述のブロックで集合して合同練りを繰り広げる町内や、個別に自由に練りを行う町内が入り乱れ、観客からは「統制がとれていない」と映ったようだ。
「これであれば、浜松まつり統監部が正式に合同練りを復活させて、全体の統制をとればよい。中止したことの失敗を認めたくないから、意地でも合同練りは復活させないつもりではないのか?」など参加者からも合同練りの復活を求める厳しい声も聞かれていた。
御殿屋台での合同練りに意欲
今年の浜松まつりの市街地イベントについて、関係者に取材を行ったところ「今年も合同練りの開催は予定していない」との残念な回答が返ってきた。
だが同時に「別の形で合同練りを実現させることを考えている」とのことだったので、その内容について詳しく聞いてみた。
「今年は御殿屋台引き回しに参加している全町で合同練りを開催する予定です。参加町内にはこれから合意をとる予定ですが、市街地に集まった100基近くの御殿屋台が中心部で勇壮な練り広げたら、それはもう見ごたえのあるイベントになるでしょう」(前出関係者)
もし実現するのであれば、それはもう勇壮どころではないイベントになりそうだが、前出関係者は意欲の裏に不安もあると語る。
それはまだ参加町内の合意が一切得られていないこと。当然、それだけ大きな御殿屋台での合同練りとなれば参加町内の合意を得なければ実現しない。ある町内の関係者は「御殿屋台で合同練りなんて狂気の沙汰としか思えない。屋台が破損したら誰が責任をとるのか?屋台に乗っている人たちの安全はどう確保するのか?」と不安を隠せない様子だった。
さらに、観光客や周辺施設への安全配慮も必要となる。
100基近くの御殿屋台が練りを繰り広げるとなれば万が一の事故の時に必ず観光客が巻き込まれることとなる。さらには周辺施設への被害も発生するだろう。
前出の関係者は「浜松まつりの予算どころか、浜松市の年間予算全額を使っても実現させたい」と強い意欲を見せるが、周辺地域からは「これで観光客が集まれば経済の発展になる」「うちの店が潰されたらどうする?」「店が破損しても市が建て直してくれるならちょうどいいので、ぜひうちの店をつぶしてもらいたい」など賛否両論となっていた。
2年前には100帖の凧揚げに挑戦し、凧に装着した発射装置が凧を残して飛び上がり、100Km以上離れた民家に被害を与えるという、とんでもない失態をおかしてしまったが、今回の御殿屋台合同練りがその二の舞にならないことを心から祈るばかりだ。
今年も浜松まつりからは目が離せそうにない。
04月01日 11時00分